プラウ ザ ネクスト

Read Article

宮城県

連携し魅力ある地域へ/東北8新聞社協主催
「地域『創新』」を掲げ、東北6県と新潟県で開く連続シンポジウム「プラウ・ザ・ネクスト(次世代の北斗七星)」の宮城地域シンポ(河北新報社など東北8新聞社協議会主催)が10月29日、「地域『連携』創新—東北発『つなぐ』新世紀」をテーマに、仙台市青葉区の東北大工学部で開かれた。東北大未来科学技術共同研究センター長で同大大学院教授の井口泰孝氏が基調講演した後、同大大学院教授の大滝精一氏らが「『つなぐ』新世紀—その成功に向けて」と題してパネルディスカッションを行い、地域、人、組織が手を携えることによる新しい地域づくりの可能性を探った。今回は各県で開く地域プラウの一環。総括プラウは30日に山形市の東北芸術工科大で開く。
ph_kahoku_1.jpg

大滝 連携を軸にした取り組みについて問題提起を。
志賀 大分県湯布院町などでは、無駄な投資をせず、行き来を増やす需要をつくり出すことによって、観光面で地域に価値をもたらしている。連携を妨げるバリアを取り払い、連携の動きを進めるにはどうしたらいいかが課題だ。
上野 連携には大義と文化的パワーが欠かせない。なぜやるのかを当事者が実感し、自分の足跡を残す活動を通して、人とつながろうとする機運が高まるのではないか。
鈴木 私たちの挑戦は物づくりだが、地域づくりもみんなでやろうという点で共通している。みんなでやる取り組みは、壁にぶつかったときに乗り越えるだけの大義と理念がいる。義務感だけでは続かない。夢も必要だ。
井口 産学連携の中でバリアを感じることもある。バリアを生じる規則や組織は人がつくるが、一度できると寄りかかってしまう。私はNICHeの活動で三千数百枚の名刺を配った。大学は敷居が高いと言われるのをなくそうと思った。バリアを崩すには、人の姿勢を変えることが必要だ。
大滝 連携を促す仕掛けと人づくりを進め、新しい文化や価値を創出するにはどうしたらいいか。
志賀 上山市のまちづくり塾は湯布院町との交流を通じて自分の地域を見直し、自信を得て、さらに活動を発展させている。不透明な時代は成功例をまねるのでなく、自分の地域に学ぶすべを学び、地域の力を上げていくことが大切だ。
鈴木 連携のリーダーシップを取る人材は古いタイプの親分肌では難しい。自分の利益を優先する人でも組織にバリアができる。共鳴する磁場をつくることができ、活動の趣旨を真に理解できる人が適任。共鳴できる人が集まる組織体にすれば、バリアはなくなるのではないか。
井口 連携を担う専門的な人材づくりが課題。違った分野をつなぐ人がいたおかげで、困難だったプロジェクトが瞬時に進んだ例もある。共通の目標や夢をつくり出せる人に働きかけ、一緒に動くことも重要だ。組織に魅力がないと人が集まらない。多様な分野の人が本気でかかわれる基盤を作る必要がある。
大滝 連携を生かした実践へのキーワードを。
志賀 地域の連携に必要なのは、前向きの強い意志。相手がどんなに豊かな感受性をもっていても、伝えなければうまくいかない。連携を利用し、地域を客観的に評価する方法を身に付けながら、地域、組織を人任せにせず、自分でつくっていくことが大事だ。
井口 従来の組織の在り方や考え方にとらわれない人をいかにつくり出すかに尽きる。
鈴木 仮説、共感、勇気。先が分からない時代だからこそみんなで「仮説」を立ててみる。一人ではくじけてしまう。仲間がいるから「共感」が生まれる。最後は一歩を踏み出す「勇気」が必要だ。
上野 人を育てる心を一人ひとりが持つことが、連携や地域を育てる心につながる。
大滝 バリアフリーと協働(コラボレーション)を提案したい。地域のバリアフリー化を進め、新しいものをつくるという共通の目標を見つけることがポイントだ。地域活性化は総力戦の時代に入り、この10年が大事な時期。宮城、東北も、いまあるものを生かして知恵を出し、実践することが大切だ。NPOの力も見過ごせない。

東北大NICHeの理念と活動—産官学連携のコアとして—
産と学つなぐプロを養成
東北大未来科学技術共同研究センター長 井口泰孝氏
大学の一番の基本は教育と人材の育成だ。既に文化や教育、医療、福祉の分野で、大学は地域に十分貢献している。いま問われているのは、いわゆる産学連携で既存産業の活性化、再生について、個々の教官ではなく、大学が組織としてどう取り組むかだ。
産官学は「産」同士、「官」同士などの内なる連携がまず前提となる。実際には縦割りや地域の壁に阻まれて、なかなかうまく進んでいない。
大学には普遍性と競争力がある技術、研究成果を出していくことが求められている。基礎学力はもちろん、社会が要求する実学にも応えたい。
日本ではゼネラリストの育成に力を入れているが、今後はプロフェッショナルの養成が重要になる。東北大未来科学技術研究センター(NICHe=ニッチェ)は、技術志向型新規事業の創業者や、既存企業の新規分野の責任者を養成しようと、ここ2年間、仙台市とともにエクステンションスクールの起業家育成コースを夜間開講している。1期生からは会社を興す人も出た。
昨年4月には、ニッチェに技術社会システム専攻を設置した。東京を会場にした講座で、知的マネジメントができる企業経営人材の育成を目指している。
すべての試みは、人と人、組織と組織を結び、地域を元気にしていくことを狙いとしている。
産業界は、多くの人材を抱えて豊富な研究資金と設備を持ち、技術者や研究者を自前で養成する時代から、大学の知の資産をいかに活用するかという発想に転換している。
企業と大学の研究協力も本格化してきた。個々の教官と企業が連携するケースは従来もあったが、これからは組織と組織の関係が重要になる。東北大では企業との包括的協力協定が締結され、2003年度は7つの寄付講座が設置された。
9月には「研究推進・知的財産本部」が開設された。ニッチェのリエゾンオフィスは、産と学の橋渡しをしている。スタッフが学際的な研究者や企業を集め、戦略的研究を企画、コーディネートしている。
医学と工学による最先端の医工連携もスタートした。特徴は、いままで患者の声が届かなかった工学分野の人が、患者に接して本当のニーズを聞き出せるようになること。現在、世界に向けてチームのメンバーを募集している。
大学から民間への技術移転を図るための機関「東北テクノアーチ」を、5年前に約1億円の資本金で設立した。研究者の研究成果を審査して特許を申請し、同時に民間企業に移転することはものすごく大変だが、鋭意進めている。
今後も、産官学連携に夢を抱く人材の育成に力を入れていきたい。

※記事本文は河北新報社データベースより流用
(2003年11月16日河北新報朝刊より)

くすり通販なら安心くすりネットで
くすり通販
sigmasolns.com