プラウ ザ ネクスト

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福島県

地域「生活」創新福島県地域プラウ
地域からの新しい生活スタイルの発信〜スローフードからはじめよう〜
福島民報社など東北六県と新潟県の新聞社でつくる東北八新間社協議会と地域住民が協力し、活力と魅力ある社会の実現を考えるプロジェクト「プラウ(北斗七星)・ザ・ネクスト」。十一月十五日に会津若松市の会津大で開かれた福島県地域プラウでは菅家一郎会津若松市長の歓迎あいさつを皮切りに「地域からの新しい生活スタイルの発信〜スローフードからはじめよう〜」をテーマにパネリストらが二十一世紀の新しい生活のあり方を考えた。総括シンポジウムは十一月三十日に山形市で開かれた。

趣旨説明−安江俊二氏
「健康で生きがいを持って心豊かな生活を送るためにはどうすればいいのか」−。この大きな課題を向こう三年間にわたって考えるのが今回のプラウ・ザ・ネクストのテーマです。県内は豊富な農作物とたくさんの郷土食、その中でも会津地方は大和朝廷以来の歴史、伝統、文化にもあふれています。本日は食生活や農業の視点で、パネリストだけではなく会場のみなさんの声を頂きながらスローフードについて考え、福島県ならではのライフスタイルを発信する第一歩にしたいと思います。

コーディネーター ヒストリア総合研究所代表 薦田宏俊氏
−はじめにそれぞれのスローフードヘの取り組みや、そのきっかけをお聞かせください。
星 平成元年に県職員を退職し、もともと関心があった郷土食に関する本を三冊発行しました。実際に作りたいという声が上がり、公民館でこづゆなどを作ってきました。今では主婦や料理屋の女将(おかみ)らが参加し、楽しい雰囲気の中で情報を交換しています。
新城 東京都内の百貨店の要望で完全無農薬で生産した米から酒造りに取り組んだのが、スローフードとのかかわりを持つきっかけになりました。現在は「食の安全」に向けて地元の企業八社で取り組んでいますが、できるだけ多くの人に参加してほしいですね。
平出 宇都宮市から嫁いで三十四年、こづゆや煮魚など会津の食文化の豊かさには驚きました。古文書を見ると、会津地方では江戸時代から江戸ではやった料理を地元の食材を使い楽しんでいたようです。その土地に育った食べ物を食べてこそ、私たちの体は健康に育つと思います。
山口 西会津町では土壌のミネラルを豊富にし、おいしく健康にもよい野莱栽培を推進しています。おかげで、町民一人当たりの医療費が大きく減少し、国民健康保険税の引き下げに結び付けることができました。私自身、二年前から大腸がん検診の結果、異常はありません。(笑い)
安江 米中心の日本食はインスリンの分泌が遅く生活習慣病にかかりにくいため、欧米でも注目を集めていますよ。
−観光のプロの目から見て、これらの取り組みをどのように生かせばよいとお考えですか。
清水 食と観光は密接な関係があります。観光は単に金もうけの手段ではなく、地域のいいものに光を当てる作業だと思います。地域の素晴らしさを再確認するために、外部の人間に客観的に評価してもらえば、地域おこしにもつながるのではないでしょうか。
−将来を担う子どもたちに郷土食をどのように伝えていけばいいでしょうか。
新城 子どもたちには給食だけではなく、親の愛情がこもった弁当を食べてほしいです。そうすれば、自然に親への感謝の気持ちが身につくと思います。忙しすぎる私たち親のしつけが先かもしれませんが。
山口 昔ながらの甘みのある野菜を使った給食を、子どもたちが楽しみにしているほどです。本当の作物を口にして、多くの人に健康になってほしいです。
−会場から、郷土食の味を統一してブランド化してみてはとの声も上がっていますが。
平出 千人いれば千人の味があるといわれます。それぞれが家庭の味を守っていけばよいのではないでしょうか。
星 そうですね。郷土食を受け継いでいく地域や家庭が必要だと思います。都会に比べ時の流れがゆったりしている会津地方から、心豊かに潤いのある生活を送れる環境づくりを発信していければいいですね。
−本日は貴重な意見をありがとうございました。

[課題提起]清水慎一氏
不況が続き、公共事業や企業誘致による地域の活性化を期待できないため、行政は観光に目を向けています。しかし、旅行全体の九割が「個人型」を占め、従来のような団体客は少なくなっています。
当社は仙台駅構内に「牛タン通り」をつくり一日約三百万円の売り上げがありますが、今のままでは長続きしないと思います。個人客は旅先で地域の食生活を、どれだけ楽しめるかを求めています。スローフードのコンセプトを確立するためには、地元の人が自分の「食」を再認識する必要があります。また、行政の理解、協力は不可欠ではないでしょうか。
PHOTO [基調講演]
会津大副学長 角山茂章氏
現代の日本の食生活はハンバーガーに代表されるようにファストフード化が進み、農と食、生産者と消費者との距離がどんどん広がっています。これまでは市町村ごとにスローフードの考えを進めてきましたが、これからは地域や各グループが連携して考えていく必要があると思います。特に日本は国土の三分の二が森林であり、自然との関係を重視していくことが大切ではないでしょうか。
おいしい米も、日本酒も、人の生活のすべての基盤は水にあります。会津地方はホタルがすめるほど素晴らしい水に恵まれています。この豊かな自然を子孫に伝えながら、有効に活用すれば全国に発信できる財産になると思います。会津大というとITのイメージが強いと思いますが、PRの際のコンピューターグラフィック作りなど、皆さんのお役に立てれば幸いです。
[事例報告]
県いわき農林事務所地域農林企画室主査 酒井雄二氏
いわき市の三和地区では昨年から「スローフードに帰ろう」をテーマに地元と行政が協力し、料理教室や食の展示会を開いています。
教室では農作物のおいしい食べ方や時期、保存法を、最もよく知っている農家の皆さんに講師を務めてもらっています。農家の日ごろの食べ方を紹介するだけで、消費者にとっては大きな発見になるわけです。あるがままの食べ物や料理法にスポットライトを当てることが、農家には自信を与え、消費者からは関心を持ってもらえるのではないでしょうか。
未来を担う小中学生に対しても、授業の中で食農教育の大切さを訴えており、ソバの産地の中学校では、卒業までに生徒全員がそばを打てるように取り組んでいます。
(2003年12月2日福島民報朝刊より)

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